意味を喪う

「意味をあたえる」のfktack( http://fktack.hatenablog.jp/ )の小説です。不定期に更新します。

20131223の夢

 駅に向かって自転車をこいでいたが夢の中なのでスピードはゆるく、俺は高校生だった。8時の電車に乗るつもりだったが、次の8時7分にも間に合わないかもしれない。周りには同じ制服を着た男女がいたが、少しも急いでいる様子はない。実はその理由は俺にもわかっていて、8時7分の電車は、次の駅で時間調整を行い、その後の8時24分の電車がくるまで待っているので、最終的に24分に乗れば遅刻はしない。

 駅はいつもの知っている風景ではなく、赤い絨毯がひかれ、そのため券売機を探さなければならなかった。その時はいつの間にか誰かと一緒にいてその人は

「券売機がないんじゃ切符を買えばいいんじゃねーの?」

 と言った。外階段をあがって入ってすぐのところに、当時好きだった人と、その友達がいた。その2人は今現在の外見をしていたので、一瞬わからなかったがすぐにわかった。しかし卒業してから一度も会っていないし、そもそもクラスも違って親しくもなかったので、俺は遠目に眺めるにとどめようとした。しかし俺の友達は親しかったのですぐに声をかけて談笑を始め、俺もそれに便乗してあたかも在学中から親しかった風を装い、いくつかギャグをかませば、現在の彼女たちと、メアドの交換くらいはできるかなと思った。在学中はまだ携帯電話は普及していなかった。

 そこで場面は変わる。

 俺は修学旅行中で、赤い絨毯の建物は、どうやらお土産屋さんの2階か3階のようだった。旅行中はお金のことばかり気にしていた。例えばゴミ袋が必要だったとして、店のおじさんに声をかけると用意してくれるが、それは有料で最終日にまとめて支払うことになっていたので、うかつに声もかけれない。それで、もう最終日で、みんなその辺に落ちているゴミとかを集め、お金の清算をしようとしていた。俺はベランダにおり、ベランダは人がどうにかすれ違えれる程度の幅だった。柵の根元には雨水を通すために溝が掘られていた。俺は、自分個人で購入したものが、全体の会計に入ってしまわないように、注意深く辺りを見回し、個人で買ったものを回収しようとした。背後で音が鳴り、後ろには冷蔵庫があったので冷凍庫を開けると、中には貝がびっしり詰まっていたが、最初は貝には見えなかった。両端には保冷用の氷があり、下から覗くと貝の中身が見えたので、それにしても大きな貝なので、中身を割り箸でつつくと柔らかく、明らかに生きているような反応をしたのでぎょっとして蓋を閉めた。冷凍庫なのに凍っていないのは奇妙で、温度設定を見ると1度になっていた。誰かが買ったか、捕まえたものだと思い、最終日なので忘れてしまっては大変だと思い買った人を探すと、すぐに見つかった。彼は

「見つけちゃったかー」

 みたいな反応をして冷凍庫を開けると、貝類の前に氷のバーを立てて見えないようにした。俺は生きているのにかわいそうなことをするなあと思ったが口にはしなかった。売店の人も後から大変だなあとも思ったが、修学旅行生とはそんなものかもしれない。彼は椎茸を栽培するのと同じ要領で、貝も育てるのだとそのあと説明してくれた。直径2cm程度の穴を開けるのだそう。しかし苗木は何になるのか、その時聞いたかもしれないが忘れた。やがてベランダから誰もいなくなり、ようやく好きな人と2人きりになれた。こっちの好きな人はさっきのとは違い、クラスも同じだった。好きな人はベランダから見える外の風景についての感想を言った。見てみると、茶畑が広がり、所々何も植えられていない箇所があり、そこは茶色い地肌が見えて綺麗ではなかったが、全体的には綺麗だった。そこら中でたくさんの農家が収穫をしていたので俺は

「人がうにょうにょ動いてて面白い」

 と言い"うにょうにょ"の部分で笑いを取れると期待をしたが、特に反応はなかった。それから行かなきゃということになり、赤い絨毯の部屋に戻ったところで、どちらかが

「これが最後の修学旅行だね」

 と言った。俺は大人になっても、本人たちが修学旅行と自覚すれば修学旅行になるんじゃないかと、思った。好きな人は「楽しかっった?」と聞いてきて俺は「ちっとも楽しくない」と答えると好きな人は笑った。そこからドアを開けると音楽室であり、好きな人は女子パートの方へ行ったのでもう見分けはつかなかった。音楽教師の女は今まで遊んできたのだから、今日からビシバシいくよ、と言った。俺はそれまでどんな歌を練習してきたのか全然思い出せないので焦ったが、適当に合わせているうちに思い出すだろうと思い安心した。しかし音楽教師は目ざといので見つかるとヤバい。ところが歌の練習の前に発声練習があるのだが、それが延々と続き、段々難しい言葉になって聞き取りづらくなったのでうまく返せなくなり、それは周りも同じだったようで所々でくすくすと笑い声が起きた。早口言葉のようだったからである。それから休憩時間になり、俺は1番端に立っていたが、2人おいて隣の男が

「今日はジーパン履いてきちゃったけど大丈夫かな」

 と言ったので、ダメなら言われるっしょ、言われないならオッケーってことだよ、と答え、この言い草はいかにも俺らしいな、と思った。そういう俺は青のウィンドブレーカーを着ており、いつのまにかすぐ近くに来ていた音楽教師は、入り口のところの誰かと話を始め、話に夢中になったのか、指に挟んだ煙草を下に下ろすと灰が落ち、それが俺のウィンドブレーカーに触れて穴が開いた。「ふざけんなよ」と大声を出して俺はキレたが、すぐに体をひねったのでウィンドブレーカーには穴は開かなかった。しかし、痕はついた。しかし音楽教師は俺がキレていることに気づかずに会話を続けた。俺は端のポジションから中の方のポジションに変わろうと思い、無理やり割り込んだので、すぐ隣の友達の腕などにあたり、嫌な顔をされた。それから、歌う時のポジションは重要なので、勝手にポジションを変えた俺は、練習が始まった時にそのことを咎められるのではないかとひやひやした。それから全体の位置が少し変わった。それからこれは夢とは全然関係なくて昨日の夜ふと思ったことだが、初めて宇宙は膨張していて銀河同士はどんどん遠ざかっていて、しかも遠ざかるスピードはどんどん加速しているという話を聞いたときには不安な気持ちになったが、これは記憶についても一緒で、学生時代の記憶はどんどん遠ざかり、しかもそのスピードは年々加速していく。

 

 

第1回


2013/12/11 - 西門