意味を喪う

「意味をあたえる」のfktack( http://fktack.hatenablog.jp/ )の小説です。不定期に更新します。

余生(15)

※前回

余生(14) - 余生

 

 電話の終わった妻がこっちへ来て喋り始め、聞いてみるとネモちゃんのイジメに対する担任の反応は薄く

「ちょっと気をつけて見てみます」

 と答えただけで、妻は物足りない様子だった。私も同じ気持ちであったが、朝だからバタバタしているし、また夕方とかに改めて電話してくるんじゃない? と教師をフォローした。教師とは、1年生は3組まであって3人いる教師の中では1番若い風貌で、それは私が1年生のころと全く同じ状況で、とうじの私は自分の担任が1番若いことに喜んだが、実際は逆で若い方がキツイということを、その後で知った。妻の情報では娘の担任は、25歳か35歳であるらしく、どうしてその間がないのかは不思議だが、私は25歳だとしたら新卒でまだ3年しか経っていないということになるので、35歳ではないかと思った。妻は

「25歳と言われればそう見えるし、35歳って言われればそう見えるよね」

 と言った。ただし私たちはまだ、彼女の入学式の時のスーツ姿しか見たことがないので、普段のファッションを見たら(公務員なので地味な服だろうが)どう見ても20代、あるいはその逆となるのかもしれない。35歳だとしたら私とほぼ同い年なので、私はもう少し年上がいいと思うだろう。ネモちゃんが幼稚園だった時の担任は、27歳でこれは私の部署へ来ている派遣社員の男と同じ年であるが、若いけれどもしっかりと話をするし、幼稚園の教師とはクラスだよりなんかでは、紙にびっしりと細かい手書きの文字で園児たちの様子を伝えてくるので、私はいつも恐縮した気持ちになる。しかし今のご時世なのだから、PCを使えばもっと教師の負担を減らせるのではないかと思う。