2016-01-01から1年間の記事一覧
私と敦子はその後駐車場でおしゃべりをした。駐車場は建物の真下にあったので、全体が薄暗かった。午後四時頃である。敦子は白いマフラーを巻き、茶色いコートを羽織り、赤色の手袋をつけた。また忘れたが、季節は冬だったっけ? 読み返さなくてごめんなさい…
敦子が部屋にやってきた。敦子とは中学の頃の同級生である。部屋とは関越自動車道の、東松山インターの近くのラブホテル部屋だった。私はデリバリーヘルスで敦子を指名した。もちろん敦子という名前ではなかった。写真も違う。そのお店は時間三分前まで射精O…
書いている。書くというのは読むと同義であり、小説とは誰よりも書いた本人がいちばん読んでいる、と言ったのは保坂和志だった。だから私も読んでいる。書いていると言ったのは嘘だ。第4回まで更新した分を読み返したが、まるでダメだった。ダメというと何か…
「どのブログ?」 と、私は反射的に志村に訊いた。「棚尾さんのブログ」と言ってきたからである。私はブログはひとつしか持っていない。 「「意味を喪う」でしたっけ? 文字ばっかりのやつです。毎日書いているやつです」 「棚尾なんてどこにも書いてないだ…
小説を書く、と風呂敷を広げてはみたもののなんやかんやで放置していたらすっかりとっかかりをなくしてしまった。いつでも書き出せるようにと携帯を常に持ち歩いていたが、小説を書くために持ち歩いているわけでもなかった。携帯は春から二台に増えた。会社…
私が五歳か六歳のとき、祖母が私にお話のカセットをプレゼントしてくれた。そのときは祖母の妹も一緒で、いつも二人はセットでやってきた。祖父はまだ生きていたが、私の家にやってくることは滅多になかった。祖父は家で本ばかり読んでいた。本を読まないと…
仕事については色々言いたいこともあるが、生きている限り明日は続いていく。私は人間というものは死を自分で認識できないというスタンスなので、今のところは、永久に明日は続くものととらえている。とにかく夢も希望もない人は生きづらい世の中だと感じる…